予防と臨床のはざまで
健康教育・ヘルスプロモーション研究会のこれまでとこれから
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.874
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209017
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日本産業衛生学会には30ほどの研究会があります.ちょうど,ICOH(国際産業衛生学会)の下部に,学会員の関心領域ごとに約35の科学分科会があるのと似ています.毎年の学術集会では,各研究会が主に夕方2時間程度の自由集会を行っています.健康教育・ヘルスプロモーション研究会は,職域における健康教育やヘルスプロモーションを扱う研究会であり,その歴史は実に38年の長きに渡ります.本連載でも複数回取り上げてきましたが,今回はその歴史と議論,活動の変遷を振り返ります.
研究会の発起人は,武藤孝司先生(獨協医科大学)故 高田和美先生(当時,産業医科大学)埋忠洋一先生(当時,三和銀行)らで,当初から保健師,看護師,管理栄養士などの多職種によって,職域における健康教育のあり方について議論されていたのが印象的でした.成長期であった日本の経済状況を反映して,健康教育も豪華であり,企業の保養所を用いたセミナーや温泉地の宿泊型セミナーが行われたりしていました.健康診断時の情報提供はよい健康教育のチャンスですが,埋忠先生は銀行での取り組みを「回遊式」健康教育と命名し,紹介されていたのを記憶しています.
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