予防と臨床のはざまで
第44回健康教育・ヘルスプロモーション研究会
福田 洋
1
1順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座
pp.782
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209737
- 有料閲覧
- 文献概要
日本産業衛生学会の研究会である健康教育・ヘルスプロモーション研究会は,41年の歴史を誇る古い研究会です.今回は学術大会以外の独自開催ということで,8月20日にオンラインで特別セミナーを開催しました.テーマは「職域の健康教育と教材・メディア」.健康経営優良法人の認定要件にも,組織のヘルスリテラシー向上を目指した健康教育機会の提供が明示されており,多くの企業で日常的に健康教育が行われています.健康教育では,その理論やプロセスも重要ですが,媒体となる「教材」にフォーカスされた議論の場は少ないと思われます.今回は,教材の中でも特に多用される「漫画」を用いた健康教育から,職域における健康教育の教材・メディアの可能性を探りました.
最初に私からイントロダクションとして,研究会の歴史と今回の趣旨について説明しました.糖尿病患者教育用のテキストの表紙に「たばこをプカーッとふかす憎たらしい表情のおじさん(長谷川さん)」の漫画を描いてから,もう25年以上がたちました.その後,教育の対象は特定保健指導や職域健康教育に広がりましたが,有効で感謝される健康教育を模索する中で,ずっと漫画の有用性を感じてきました.保健医療分野では,Evidence Based Presentationはもちろん重要ですが,視覚優位性やペルソナ/ストーリー型マーケティングを加味した漫画はすでに多くの領域で実績を挙げつつあります.見落とされがちな「健康教育の教材」の重要性にフォーカスし,漫画を用いた職域健康教育について3つの良好実践の共有と議論を行いたいとお話しました.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.