映画の時間
—インドの聖地「バラナシ」を舞台に,死期を悟った父と,それを見守る家族の旅路.—ガンジスに還る
桜山 豊夫
pp.875
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209018
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バラナシはイギリス植民地時代にはベナレス(Benares)と呼ばれていたインドの古都です.本作品ではサンスクリット語の原語に近い発音で「バラナシ」と表記されていますが,ヒンドゥー教の聖地でもある,このバラナシが舞台となっている「ガンジスに還る」を今月はご紹介します.
老境を迎えたダヤ(ラリット・ベヘル)は,子ども時代の自分が,誰もいない村で母親から呼ばれている夢を見ます.自分の死期が近づいていると考えたダヤは,同居している息子夫婦と孫に夢について語り,明日は寺院に牝牛を寄進し,明後日は聖地バラナシへ行くと告げます.ヒンドゥー教の教えでは,バラナシにある聖域の中で死を迎えた者は,どんな罪人であっても,亡くなると即,解脱が得られるということで,ダヤもそれを目指してダヤに行きたいのでしょう.
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