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はじめに
2007(平成19)年に「特別支援教育の推進について(通知)」1)(以下,通知)が出されてから,全ての学校園において特別支援教育の体制整備が行われるようになった.発達障害も含めた特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒への理解が進み,指導の充実が図られている.その後,同年9月に日本国が署名した「障害者の権利に関する条約」2)を批准するに当たって,共生社会に向けたインクルーシブ教育システムを構築するために,さまざまな制度改正などが行われ,特別支援教育はさらに推進されることとなった.
通知では,障害のある子どもを教育するに当たって,家庭だけでなく,福祉,医療,保健,労働などの関係機関と連携することが求められている.文部科学省は連携の必要性について,単独の通知を出すのみにとどまらず,厚生労働省と連名で通知を出すなどして,その周知を図ってきた.
各学校や地域の特別支援教育の体制づくりについては,文部科学省が行っている特別支援教育体制整備状況調査3)から,実態把握や校内委員会の実施,特別支援教育コーディネーターの指名,個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成などの基本的な体制が多くの学校で整えられてきていることが分かる.しかし,本人・保護者,学校現場,関係機関からは「体制が整ってきてはいるものの,学校と家庭や福祉,医療等の関係機関との連携がうまくとれていない」という声をよく聞く.
そこで,本稿では,全ての人に知っておいていただきたい,特別支援教育の基本的な事項について解説する.また,最新の動きである,2017(平成29)年に改訂された小・中学校の新学習指導要領4)における特別支援教育の基本的な方向性についても解説する.さらに,今後,学校と関係機関の連携がより進むための方法について考察する.
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