特集 発達障害者支援の到達点—新しい支援の枠組みを考える
強度行動障害児(者)への支援の今昔—知的障害児(者)入所施設の実践から
五十嵐 康郎
1
1社会福祉法人萌葱(もえぎ)の郷(さと)
pp.384-389
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208890
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はじめに
1955〜1973年の高度経済成長とともに福祉予算が増加し,それまでの精神薄弱児施設(当時)では処遇することが困難な重度精神薄弱児のための施設が開設され始めた.1958年に国立秩父学園が開設され,重度重複障害児の処遇が始まった.1961年に重症心身障害児施設(島田療育園,秋津療育園)が開設され,1964年に児童福祉法による重度精神薄弱児収容棟が設置された.1969年に東京都立梅ヶ丘病院(東京都),大阪府立中宮病院(大阪府),三重県立高茶屋病院(三重県)の公立病院に自閉症児施設が整備され,その翌年から療育費用に対して国が助成を行ったことで自閉症施策はスタートした.
強度行動障害という名称は1988年に行動障害児(者)研究会において命名された.頻繁な自傷や他傷などの行動のため,強度な適応行動障害をみせる障害児(者)という意味から,この名称は採用された.
筆者は1971年に社会福祉法人滝乃川学園〔1891(明治24)年に創立された日本初の知的障害児施設〕に就職し,児童部重度棟の責任者として配属された.その後,1991年に自閉症者施設の「めぶき園」(大分県,図1)を開設し,主として最重度・重度の知的障害を伴う自閉症児(者)の強度行動障害支援に取り組んできた.
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