予防と臨床のはざまで
職域におけるIT活用の可能性
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.178
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208840
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この10年間,IT(information technology)の進化は凄まじく,まったく予想できなかったようなデータ蓄積やコミュニケーションが可能になりました.スマホやタブレットPCなどの新しいデバイスが当たり前になり,さまざまなアプリやウエアラブル機器によって,歩数,活動量,睡眠などの生体情報がビッグデータとして蓄積されてきています.禁煙外来や特定保健指導などの面談などでは,遠隔コミュニケーションも実用化されつつあります.特定健診以降,健診データ,生活習慣などの問診情報,レセプト情報も電子化され,企業と健康保険組合の垣根を越えて,働く個人に紐付いた健康情報を活用できるようになってきています.
一方,産業保健分野でのITの活用を考えてみると,可能性と現実のギャップを感じるシーンが少なくありません.健診や面談の記録一つをとっても,産業医や保健師が旧態然とした健康管理システムに悪戦苦闘している企業が多くあると思います.e-learningやwebセミナーは大企業では導入が一般化しつつありますが,本当に能動的に活用されているかは疑問です.従業員個人に目を向けると,健康関連の情報サイトや個人の健康管理情報へのアクセスは低調という感覚があります.さんぽ会(多職種産業保健スタッフの研究会.URL:http://sanpokai.umin.jp)では第242回となる11/9の月例会で「職域におけるITの活用の可能性」をテーマに取り上げ,議論を行いました.
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