連載 障害者の多様な働き方
ITを活用した就労
茅原 聖治
1,2
1龍谷大学経済学部
2大阪河﨑リハビリテーション大学
キーワード:
IT
,
アシスティブ・テクノロジー
,
障害者雇用
,
テレワーク
,
人的資本
Keyword:
IT
,
アシスティブ・テクノロジー
,
障害者雇用
,
テレワーク
,
人的資本
pp.798-799
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100363
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ITは障害者と社会との関係をどう変えたか
21世紀に入り,IT(Information Technology:情報技術)は現代社会と切っても切り離せない存在となった.コンピュータおよびその関連機器とインターネットを中心としたネットワーク,そしてそれらを通じて生成・伝達・蓄積される情報の総体として認識する場合や,単にコンピュータを利用した機器そのものを指す場合など,ITの捉え方は人それぞれである.簡単に言えば,ITとはコンピュータとインターネットを「道具」として利用し,経済・社会生活に役立つ各種情報同士のコミュニケーションを円滑に行うことである.
WHO(世界保健機関)の国際生活機能分類ICFに示されているように,身体・知的・精神障害のある人は,障害の種類や程度,物的・人的環境,障害者に対する社会の理解度などの諸条件の下で,日常生活における活動(activity)の障害と社会への参加(participation)が阻害されるという受動的な障害に直面している.とくに,雇用・就労といった場面においては,これまで障害者は生産性が低い,雇用するのに余分なコストがかかると考えられ,利益追求を目指す企業中心の経済社会の先入観や統計的差別により締め出される状況にあった.
しかし,ITの登場で,障害者と経済社会の間に接点が見いだされるようになってきた.その第一のベクトルは,パーソナル・コンピュータ(以下,PCと略)に代表されるIT機器の利用によって,身体障害やコミュニケーション障害を軽減し,情報保障をすることであり,第二のベクトルは,第一のベクトルを雇用・就労に結びつけることである.
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