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あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書
石原 美千代
pp.778
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208749
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本号の特集は,2016年にアルコール健康障害対策推進基本計画(以下,基本計画)が策定されたことを受けて企画しました.執筆をいただいた先生方の多くが,“大多数を占める真の「中核群(=軽症群)」”に光を当てることと,“一般医療での早期介入,軽症者への対処の拡がり”によってアルコール依存症「進行群」である「重症群」を減少させることの必要性を訴えていました.そして,そのために,基本計画と「アルコール健康障害対策基本法」(以下,基本法)とに大きな期待をしていらっしゃることが深く印象に残りました.
保健所や精神保健福祉センターなどにとってアルコール関連問題は昔からの重要な問題であり,今も支援に取り組み続けています.しかし,現場の支援者である私たちに「偏見」は本当にないのでしょうか.本特集内での成瀬暢也先生の「治療者の依存症に対する意識の在り方が大きなカギである」というご指摘には,考えさせられました.というのも,私は慢性疾患の患者であり,35年近く治療を続けていますが,治療がうまくいかない時は,特に自分自身に対する陰性感情(あるいは忌避意識)が強くなりがちだと実感しているからです.患者自身が最も自分を責めているのに,支援する側まで患者を尊重できなかったら,治療がよい方向に進むはずがありません.私自身の陰性感情は,治療者などからの尊重・信頼という「意識」が伝わることによって,徐々に回復してきたような気がしています.
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