特集 がん対策の加速化
がん対策の加速化をめぐる課題と展望
門田 守人
1
1地方独立行政法人堺市立病院機構
pp.198-205
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208624
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わが国でがんが死因のトップになったのは1981年のことで,以降もがんの死亡率は上昇し続けており,現在では国民の2人に1人ががんに罹り,3人に1人ががんで亡くなっていることから,がんは国民病と言われている.わが国の本格的ながん対策は1984年に当時の中曽根首相が「対がん十か年総合戦略」を打ち上げた時に始まったと言える.その後,2006年に「がん対策基本法」(以下,基本法)が国会で可決・成立し,2007年4月から法施行となり,「がん対策推進基本計画」(以下,基本計画)が策定され,法律に基づくがん対策が始まった.その後,さまざまな施策によりがん対策は確実に進んできたものの,第1期基本計画で挙げられた10年間でがんの年齢調整死亡率(75歳未満)を20%減少させることについては,目標の達成が難しいと予測された.こうした状況を踏まえ,2015年に厚生労働省主催のもと「がんサミット」が開催され,総理大臣から年内に「がん対策加速化プラン」(以下,加速化プラン)を策定するよう指示が出され,厚生労働省が2015年12月に加速化プランを纏め公表した.
本稿では,基本法の成立から第1期・第2期基本計画,加速化プランまで,わが国のがん対策の歴史的経緯,さらには第3期基本計画に向けての動向について述べ,筆者の私見を交え述べてみたい.
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