予防と臨床のはざまで
人・組織を変える自分の条件—さんぽ会夏季セミナー2016
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.868
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208554
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9月3〜4日,さんぽ会(多職種産業保健スタッフの研究会)の夏季セミナーが行われました(http://www.facebook.com/sanpokai).テーマは「産業保健のゴール」.これは日本の産業保健のゴールという意味ではなく,自分達のゴール(何のために頑張っているのか)を見つめ直したいという意味です.今年は,さんぽ会東京と名古屋の共催で,はざまの地である熱海で湯に浸かりとことん語り合うという企画を考えました.最近思うのは宿泊を伴うセミナーの企画の難しさです.さんぽ会が設立された20年以上前は,企業の保養所をお借りした宿泊型の夏季セミナーが当たり前でしたが,最近は世の中全体の労働密度が変わったのか「そんなのんびりしたセミナーなんてとんでもない!」という雰囲気も感じます.そんな中,今年も学生さんから現職の国会議員まで30人弱の皆さんが集まってくれました.
初日は,名古屋の代表世話人の安田博之先生(イビデン株式会社産業医)および東京の世話人の保健師・人事の皆さんから「私の産業保健物語」と題して,産業保健に関わるきっかけと今のやりがいや目指すところについてナラティブに語っていただきました.きっかけやキャリアは千差万別でも,働く人の健康に興味を持ち,その時々の環境でより良い仕事ができるように真摯に努力し続ける姿勢は全員の物語に共通しています.さらに続いて,産業保健に興味を持つ3大学5人の学生から,将来の「私の産業保健物語」について語られました.先輩のリアルな人生の軌跡と,初心に帰るような学生の無垢な夢の交錯が,働く人を支援する専門職の未来を感じさせてくれました.
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