映画の時間
—37歳でこの世を去った天才作家と彼を世に送り出した名編集者—アメリカ文学史に残る名作の舞台裏—ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ
桜山 豊夫
pp.869
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208555
- 有料閲覧
- 文献概要
大恐慌の起こった1929年のニューヨーク,激しい雨の降りしきるなか,出版社のビルディングを見上げる男がいます.ビルのなかでは,編集者が,赤鉛筆で原稿の校正の真っ最中.この二人が本作品の主人公,作家のトマス・ウルフ(ジュード・ロウ)と編集者のマックス・パーキンズ(コリン・ファース)です.
主人公のパーキンズはアメリカの名門出版社チャールズ・スクリブナーズ&サンズ社に勤める編集者で,『グレート・ギャツビー』のフィッツジェラルド,『日はまた昇る』のヘミングウェイなどの作家を見出しました.そんな彼のところに,方々の出版社で採用されなかった無名作家の大量の小説原稿が持ち込まれます.高名な舞台衣装デザイナーで,会社の別の部署からデザイン関係の本を出しているアリーン・バーンスタインの口利きだったので,パーキンズはこの原稿に目を通すことになりますが,一読して作家の才能を見抜いた彼は,作者のウルフを呼び出しある条件のもとに出版を契約します.条件とは,膨大な原稿の不要部分を「削除」して短くすると言うもの.駆け出し作家とベテラン編集者の共同作業による「校正」がはじまります.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.