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少し前のことになりますが、昨年の9月に開催しましたさんぽ会夏季セミナーについて紹介します。多職種産業保健スタッフの研究会、さんぽ会(http://sanpokai.umin.jp/)は、年1回夏季セミナーを実施しています。通常の月例会では議論しきれない、まとまったテーマについてしっかり時間をとって共有、議論、交流を深めるのが目的です。30周年を迎える今年は、働く人の腰痛・転倒予防をテーマに、初めて「さんぽ会×厚生労働省×スポーツ庁」のコラボが実現しました。
第1部では、厚生労働省の澤田京樹氏より「腰痛・転倒防止について〜国の取組」と題して腰痛・転倒など行動災害が増加している労災の現状が報告されました。国が行ってきた対策と有識者へのヒアリングの結果も踏まえつつ、今後は指導や規制といった北風的な取り組みだけでなく、健康経営やヘルスプロモーションの枠組みでの支援など、太陽的な取り組みが求められているというお話がありました。次にスポーツ庁の和田訓氏より「スポーツを通じた健康増進」と題して、若年世代ほどスポーツ実施率が低い現状が示され、スポーツの力や体力作りを通じた腰痛・転倒防止の視点も重要で、第3期スポーツ基本計画やSport in Lifeコンソーシアム、スポーツエールカンパニーなどの取り組みの紹介がありました。最後に東京大学特任教授の松平浩先生より「生産性・ストレス・健康寿命と腰痛・転倒予防〜明日から使える実践的な話と体操」と題して、プレゼンティーイズムによる労働損失の2位が肩こり、3位が腰痛であり、在宅勤務でこれらが増悪していることに触れ、予防のためのブレイク(座りっぱなしの中断)の重要性と実践的な「これだけ体操」の紹介がありました。また心理的ストレスと腰痛の関連やヘルスリテラシー向上の重要性に触れ、これらを踏まえた産業保健スタッフ向けの新腰痛対策マニュアル、アプリ、簡便な体操の動画集などの紹介がありました。
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