連載 いま,世界では!? 公衆衛生の新しい流れ
日本のグローバルヘルス人材
中谷 比呂樹
1,2
1慶應義塾大学
2国立大阪大学
pp.362-366
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208430
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グローバル人材の養成が注目を浴びているがその意味するところは必ずしも明確ではない.文部科学省の「経済社会の発展を牽引(けんいん)するグローバル人材育成支援事業」1)においては,「グローバルな舞台に積極的に挑戦し世界に飛躍できる人材」とされ,「学生のグローバル対応力を徹底的に強化し推進する組織的な教育体制整備の支援を行うこと」が謳われている1).また,この事業の上位概念である「スーパーグローバル大学等事業」においては,「高等教育の国際競争力の向上及びグローバル人材の育成」が目指されており,このような取り組みによって世界の主要100の研究大学を目指すタイプA型と,わが国社会のグローバル化を牽引する大学を目指すタイプB型の指定が2014年に行われ,現在,それぞれ13校と24校において取り組みがなされている2).しかしながら,公衆衛生関連領域では,このような人材のグローバル化の大合唱に違和感を覚える向きが多いのではなかろうか.
なぜなら,大部分の地域保健医療サービスはいわば「地産地消」の最たるものであるし,途上国の医療問題に取り組む保健医療関係者や国際学会で活躍する邦人研究者・実務家もおられるが,このような人材はむしろ少数派であることを知っているからである.そこで,なぜ“いま”国際保健人材を論議しなければならないのか,新しい国際保健人材のパラダイムは何か,について述べ,最後に,実現のために何ができるかを論じてみたい.
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