ジュネーブからのメッセージ
グローバルヘルスの課題は非感染症(NCD)へ─日本の高齢者対策の出番─
中谷 比呂樹
1
1WHO事務局
pp.115
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102673
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21世紀最初の10年の地球規模の健康問題の花形は,エイズ・結核・マラリアという三大感染症であった.その口火を切ったのは2001年の国連エイズ特別総会で,エイズという1つの病気に初めて特別総会まで開いて対応を協議し,その後の途上国援助の大型プロジェクトとなった.そして10年間の国際社会の努力により,新規発生の抑制に概ね成功が得られたのである.また,母子保健の向上や感染症の制圧などを含むミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)に掲げられた,貧困撲滅への8つの取り組みが進められ,多くの国の経済状況が大きく改善してきた.
加えて,一昨年はエイズに続いて,病気を主要議題とした総会としては2回目になる「国連(NCD:Non Communicable Diseases)総会」が開催された.WHOは各国首脳の政治的誓約を具体化することを委ねられ,2年の検討と各国協議を経て得られた2025年までの目標とその進捗評価指標を,今年5月のWHO総会(議長国は日本となる予定)を経て,秋の国連総会へ報告することとなっている.したがって,今年の国際保健の主役は「NCD」一色となり,WHO総会議長国に内定している日本の出番とは言えまいか.
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