連載 パートナーシップ時代の国際保健協力―これから国際保健協力を志す若者への10章・3
顧みられない熱帯病―もうひとつのグローバルな課題
一盛 和世
1
,
鷲見 学
2
,
武井 貞治
3
,
中谷 比呂樹
4
1WHO本部事務局感染症局
2WHO本部事務局総務局
3国連合同エイズ計画モニタリング
4WHO本部事務局事務局
pp.977-980
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101463
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今年の夏,日本でG8北海道洞爺湖サミットが開催されたことは前章(第2章)で紹介した.この中で,日本がかつて提唱した寄生虫対策が,顧みられない熱帯病(NTD:Neglected Tropical Disease)という名称のもと,改めて国際社会の認知と支援への合意が形成されたのである.すなわち,首脳宣言では『HIV/エイズ,結核,マラリア及びポリオに関するコミットメント履行を再確認する.(中略)「顧みられない熱帯病」(NTD)の統制または制圧の支援に合意』とされ,付帯文書であるG8保健専門家報告書「洞爺湖行動指針」では,『顧みられない熱帯病について,アフリカ,アジア,ラテンアメリカの主要感染国において,感染者の少なくとも75%に対して支援を届けることができるよう,支援に取り組む』との努力目標についての合意がなされたのである.この過程を振り返って,疾病として「小兵」のNTDがどうして国際保健の大きな課題として取り上げられるようになったのか考えることを通して,国際保健のアジェンダ作りのダイナミックスを本章では紹介してみたい.
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