特集 産業保健のトピックス
高齢労働時代の産業保健の課題と展望
神代 雅晴
1,2
1一般財団法人 日本予防医学協会
2産業医科大学
pp.257-261
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208401
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
序に変えて
1.高齢労働社会の到来
わが国の生産年齢人口は1995年の8716.5万人(全人口の69.4%)をピークとして,その後は減少局面に入った.直近の2015年における生産年齢人口比率はピーク年に比べて8.7%低い60.7%であったが,それから20年後の2035年には56.6%,次いで,2060年には50.9%まで減少すると推計されている1).反して,全人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は2013年に25%を超えた.今後も高齢化率は上昇を続け,2030年には31.6%,そして,2060年には国民の約2.5人に1人(40.0%)が高齢者になると推計されている2).
高齢労働に拍車をかける要因として少子化が挙げられる.人口維持に必要と言われている合計特殊出生率は2.07から2.08である.団塊の世代が誕生した1947〜1949年の合計特殊出生率は4.54〜4.32であった.しかし,1974年(2.05)以降は人口を維持するために必要な水準を常に下回る数値が続き,ついに2013年には1.43となった3).
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.