特集 老人問題と公衆衛生
高齢化社会—その展望と課題
菱沼 從尹
1
Shigekazu HISHINUMA
1
1(財)寿命学研究会
pp.576-580
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207322
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■高齢化社会の展望
1.高齢社会と高齢化社会
国連資料(Population Studies, No. 26)によると,総人口に対する65歳以上人口の割合が4%未満の人口を「若い(young)人口」,4%以上7%未満の人口を「成熱した(mature)人口」,7%以上の人口を「高齢の(aged)人口」と呼ぶことを提唱している.筆者はこの割合を,人口学者の呼称とは違うが,人口の「加齢指数」と呼ぶことにしている.
さて,加齢指数が4%未満を「若い人口」と定義するのは異存がないが,7%をもって「高齢の人口」とするのはいささか低すぎるような気がする.たとえば,1900年に加齢指数が8%を超えていた国はスウェーデン(8.37%)とフランス(8.20%)の2国にすぎなかったことを考えて,8%を基準にとることも一つの方法であろう.しかし,それでもまだ低く,人口の加齢に伴う困難な問題は明確にでてこない.
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