特集 産業保健のトピックス
産業保健における人間工学の活用—最近の動向と将来性
垰田 和史
1
1滋賀医科大学社会医学講座衛生学部門
pp.263-267
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208402
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労働の安全性や快適性は,人間(労働者)と労働と環境の3要因によって大きく規定される.人間の要因に属するのは,性別,年齢,体格,体力,性格,健康状態などで,家事・育児負担のように家での疲労原因や疲労回復に影響する事項も人間の要因に属する.心身の障害の有無やその種類・程度もここに属する.労働の要因には,仕事の種類や作業方法,雇用関係や労働時間に関することなど,労働基準法や労働安全衛生法により雇用主に具体的な責務が指示されている種々の事項が属している.環境の要因に属する事項には,温熱や騒音など物理的な事項や有機溶剤など化学的な事項だけでなく,職場の人間関係など心理社会的な事項もある.産業保健では作業管理,作業環境管理,健康管理を介して職場の安全性や快適性の維持向上を図るが,その基礎をなす科学として人間工学がある.
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