特集 子どもへのがん教育
がん教育の実践と意義
中川 恵一
1
,
玉利 祐樹
1
1東京大学医学部附属病院 放射線科
pp.103-109
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208361
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がん教育を取り巻く背景
日本は,男性の3人に2人,女性の2人に1人近くが,がんに罹患する世界でも有数のがん大国であり,欧米では減少に転じているがん死亡数も,増え続けているなど,がん対策の遅れが目立っている.いまだ高い喫煙率,低い検診受診率,がんに関する情報を集約して治療に生かす「がん登録」制度の未整備など課題が山積している.こうした状況を改善するため,2007年に「がん対策基本法」が施行され,「10年でがん死亡率を2割削減」という目標を立てたが,達成困難な状況である.
こうした現状の背景には国民のがんに関する知識,理解の不足があると筆者は考えている.がんの予防や早期発見は,わずかな知識の有無が左右するし,治療法の選択はまさに「情報戦」と言えるからである.
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