特集 公衆栄養への期待
高齢者の栄養・食生活に関する課題と今後の対策
新開 省二
1
1東京都健康長寿医療センター研究所・研究部
pp.533-537
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208236
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高齢者,特に後期高齢者の増加により,高齢期特有の健康問題が全面に出てきている.その典型とも言えるものが,慢性疾病のみならず加齢による心身機能の変化の影響を強く受ける身体的フレイル(ロコモやサルコペニアを含む)と認知的フレイル(軽度認知障害や認知症を含む)である.その進行には栄養・食生活が深くかかわっており,いわゆる低栄養状態(以下,低栄養と略する)やそれをもたらす食生活が身体的あるいは認知的フレイルを促進している.
人の成長,発達,老化のライフコースを通じて,適切な栄養は適切な身体活動とともに極めて大切である.しかし,これまで生活習慣病の予防という観点から,肥満,栄養の偏りや過剰摂取の弊害が強調されてきたあまり,高齢期の低栄養にはあまり関心が向けられなかった.しかし,前述したような理由から,超高齢社会では高齢者の低栄養に十分な注意が必要である.
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