発言席
今後の休養対策の課題
三宅 健夫
1
1日本大学医学部公衆衛生学教室
pp.173
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900438
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健康づくりの3要素は,栄養・運動・休養といわれている。栄養と運動については,これまでに指針の策定,マンパワー開発,関連事業推進等の施策が積極的に展開されてきたが,休養については具体的な取り組みがみられず,現状の保健活動の場においても,健康づくり対策が栄養と運動に偏って実施されてきたことは否定できない。
本来,人間は働いて疲労すれば休むということが,労働と休養の起源であると考えられるが,現実的にはまず労働時間等の枠組が前提として存在し,二義的に休養問題が存在するという感はまぬがれない。また,我が国において『休養』の同義語として用いられる『余暇』という言葉には『余ったヒマ』という意味合いが強く,その積極的な意義について思考されてこなかったことも否定できない。しかし,今後は労働や家事以外の時間帯についても,相互補完的な関係にあるという見地に立って,国民全体の健康増進という観点からの休養対策を,推進する必要がある。
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