連載 「健康日本21」と自治体・4
栄養・食生活
吉池 信男
1
1国立健康・栄養研究所
pp.496-500
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902331
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“栄養”とは,「生体が物質を体の外から取り入れて利用し,成長・発育し,生命を維持し,健全な生活活動を営む」ことである.すなわち,食べ物を“食べる”という行動に引き続いて体の中で生ずる一連の状態が,“栄養”であり,その過剰な方向への“失調”は,肥満,糖尿病,循環器疾患や一部のがんの主要な原因となる.
一方,“食生活”は,“食べる”という行動を中心としながらも,“食べる”ことを取り巻く様々な要因,例えば,個人が心の中に持つ“知識”や“態度”,家庭・職場・学校などでその個人とかかわりをもつ人々,どのように食に関する情報が得られるのか(=情報へのアクセス),どのような“食べ物”が利用可能なのか(=食物へのアクセス)などを広く包含するものであろう.したがって,“食生活”は,私たちの日常生活における社会的・文化的な背景の下に成り立つ,極めて人間的な営みであり,私たちの生活の質(QOL;quality of daily living)とのかかわりも深い.
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