特集 死因究明制度の現状と将来展望
医療現場における死因究明の現状と課題—医療事故調査制度
木村 壮介
1,2
1日本医療安全調査機構中央事務局
2国立国際医療研究センター病院
pp.335-339
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208183
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一般社会での公衆衛生の観点,事故,犯罪等を念頭に使われる「死因」の考え方は,医療現場では異なった意味合いを持つ.がんで死亡した人の「死因」は多臓器不全,肺炎等と記載されることも多く,つまり,最後の引き金になった現象が「死因」であり,がんはその「原因」であるという考え方をする.「医療事故死」(この言葉だけでも,多くの定義,議論があるが,ここでは,過誤の有無を問わず,診療行為が関与した死亡としておく)の調査ということになると,その「死因」だけでなく「死亡にいたった原因」を究明すること,そしてその経験から再発を防止するための提言をすることが医療事故調査制度の考え方である.例えば,鎮痛薬の投与量を誤り患者が死亡した場合,「死因」は明らかに薬剤の過剰投与であるが,なぜそのようなことが起きたのか「原因究明」を行うことになるわけである.したがって,医療現場における「死因究明」という題をいただいたが,医療現場においては,「事故の原因究明」の現状と課題として読んでいただきたい.
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