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特集 整形外科医療安全のすべて
Ⅰ章.総 論
6.医療事故調査制度の現状と課題
Current status and issues of medical accident investigation system
大磯 義一郎
1
G. Oiso
1
1浜松医科大学総合人間科学講座
1Dept. of Integrated Human Sciences, Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
patient safety
,
medical accident investigation system
,
medical accident
,
medical malpractice
Keyword:
patient safety
,
medical accident investigation system
,
medical accident
,
medical malpractice
pp.526-529
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_526
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は じ め に
医療事故調査制度が施行されて8年が過ぎた.本制度は制度設計時から責任追及と再発防止との間で対立が生じ,成立まで異例なほど長期間かかり,かつ制度施行後も責任追及を求める法律家などによるマスメディアを介した場外乱闘が繰り返し行われるなど,対立がいまだ継続している.その結果,本制度に対してさまざまな問題点が指摘されている.本稿では,2020年5月に全国医学部長病院長会議患者安全推進委員会が公表した「医療事故調査制度の現状と課題」1)(以下,「本提言」)をベースに医療事故調査制度の課題について検討する.
本提言は,全国80大学病院(2019年当時)に対して行った医療事故調査制度についてのアンケート調査(以下,「本件調査」)を基に現状と課題を提言している2).本提言において指摘されているのは,① 「医療事故」,「医療事故調査制度」という呼称が患者家族らに誤解を生じさせている,② 事故調査報告書が訴訟など法的責任追及の際に用いられている,③ 年間報告件数に対して誤った報道が繰り返し行われているという3点であった.本稿ではそのうち,① と ② について検討したい.
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