事例からみる保健相談
痛風会における予防意識の形成
熊谷 勝子
1
Katsuko KUMAGAI
1
1長野県松川町役場住民課
pp.566-567
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208003
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健診結果を目の前にして悩む保健婦は多いだろう.要注意段階で住民が予防意識に目覚め,生活を改善したら,問題解決が早いと思うからである.しかし,症状のない「要注意」状態では,住民に問題意識を持ってもらうよう働きかけることは難しいことである.
Mさん(30代)との出会いも同様であった.昭和45年の健診結果で,尿酸値9.7,訪問したい旨を電話すると,「元気で酒も飲めるし,仕事もできる.訪問してくれなくてもいい」との返事.その後,日常の忙しさにMさんのことは忘れていたが,昭和59年早々にMさんの妻が来庁し,「やっぱり保健婦さんのいう通り痛風発作がでた」と相談があった.経過をきくと,発作の前に尿酸結石も体験していたが,高尿酸との関連があるとは気づいていない.同じ頃,Mさんと同集落・同世代のHさんが,健診結果を受け取りにきた時,「尿酸値にH印(正常値より高い印)がついているが,この印は何か」と疑問を持った.痛風のことを説明すると,同じ症状がすでにあるという.でもねんざかと思って整骨院へ通院していると語ってくれた.「知らんということはこんなもんか」と彼は大笑いしたあと,「俺ばっかじゃない」と保健婦と学習体験を持つ彼は,学習会の必要性を感じたという.そこでMさんやHさんと相談し,健診結果から60名の対象者を選び,通知を出した.
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