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病気の姿をデータで読む(2)—総死亡の全体像
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都立衛生研究所環境保健部
pp.571-574
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208005
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人がその生涯で1回しか出くわせない現象が少なくとも二つある.誕生と死である.数え間違いさえしなければ,これほど安全確実な観測対象はない.なにしろ測定誤差とか,信頼限界とか,架空の量を仔細らしく操らなくても話の通じる自然数の世界なのだ.0.5の誕生や-0.7の死亡などという代物がないことを理解するには,常識さえあれば十分である.
誕生は割合に単純明快な事象だが,死亡のほうはさまざまな特性をもった混合事象である.発生する年齢位置もまちまちなら,原因も多彩である.誕生と違って画一的には扱えない.死因別という色分けが必要だが,その前に無色透明な死亡全体を観測する.
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