講座
栄養疫学—1.栄養疫学の視点
豊川 裕之
1
Hiroyuki TOYOKAWA
1
1東京大学医学部保健学科疫学
pp.563-567
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207522
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■はじめに
栄養疫学の概念は未だ確立しているわけではない.単に,"集団の表面に現われた栄養現象の学"であるに過ぎない.それは"栄養に関する集団現象の学"であり,"栄養状態や栄養問題を集団レベルで取り扱う学問"である,つまり,細胞や組織,あるいは個人の栄養現象を取り扱うことは栄養疫学の研究対象とはなりにくい.しかし,ここで用いた"…とはなりにくい"ということは,"…とはならない"と区別しなければならない.栄養疫学の立場で,細胞・組織・臓器レベルの生理学的現象を取り扱うことはできるが,むしろ,人間集団のレベルで生起している健康現象を取り扱うほうが著しく効率的にできる,という意味である.
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