調査研究
健康意識と行動—面接による全国調査結果の解析(2)
森本 兼曩
1
,
遠藤 弘良
2
,
川上 憲人
1
,
三浦 邦彦
1
,
丸井 英二
3
,
金子 哲也
4
,
星 旦二
5
,
近藤 忠雄
6
,
新野 直明
1
,
今中 雄一
1
,
茂呂田 七穂
7
,
郡司 篤晃
8
,
小泉 明
1
Kanehisa MORIMOTO
1
,
Hiroyoshi ENDO
2
,
Norihisa KAWAKAMI
1
,
Kunihiko MIURA
1
,
Eiji MARUI
3
,
Tetsuya KANEKO
4
,
Tanji HOSHI
5
,
Tadao KONDO
6
,
Naoaki NIINO
1
,
Yūichi IMANAKA
1
,
Nanaho MOROTA
7
,
Atsuaki GUNJI
8
,
Akira KOIZUMI
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
2厚生省健康政策局健康増進栄養課
3東京大学医学部国際交流室
4杏林大学保健学部人類生態学教室
5国立公衆衛生院衛生行政学部衛生教育室
6目黒区目黒保健所予防課
7東京大学文学部社会心理学教室
8東京大学医学部保健管理学教室
pp.689-697
発行日 1986年10月15日
Published Date 1986/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207353
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Ⅴ.運動・休養
■運動不足について
運動不足感の訴えは30〜40歳代に強く,60〜70歳代では少ない.これは運動不足感の形成に自己の体力や周囲,同年代の人々との対比が反映するためであろう.ライフ・ステージと不足感との対比では,男では就職一定年,女では子育てが具体的な決定要因,として浮かび上がる.両要因が重なる有職の主婦層で訴えが高かったのも当然といえよう.健康行動タイプとの関連では,運動実施率が全く相異なる健康づくり積極層と無意識層の2層において,不足感の訴えがほぼ同率で,かつ他3者より低かった.これは積極層では運動をしているため不足感がなく,無意識層では不足の自覚がないため運動しない,という現実の反映だと思われる.一方,非行動的ながら健康指向性は示していた意識先行層と,今後意向層の2者は運動不足感が強いと同時に,運動経験者および運動再開指向者がともに高率であった.これらの人々が条件によって健康行動への積極的参加者になりうるとすれば,両層は施策上の重要な対象となろう.と同時に,この人々の傾向は,運動経験が運動指向性を醸成していることの示唆でもあり,若年期における運動習慣の重要性がうかがわれる.他の各質問に対する挙動をみると,運動不足感は生活充足度における不満足度と類似点が多い.両者が実際の時間的,経済的ゆとりを介して結びついているのか,または生活全般に対する不満感の単なる異なった表出であるのかは不明である.
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