調査研究
健康意識と行動(1)—面接による全国調査結果の解析
森本 兼曩
1
,
遠藤 弘良
2
,
川上 憲人
1
,
三浦 邦彦
1
,
丸井 英二
3
,
金子 哲也
4
,
星 旦二
5
,
近藤 忠雄
6
,
新野 直明
1
,
今中 雄一
1
,
茂呂田 七穂
7
,
郡司 篤晃
8
,
小泉 明
1
Kanehisa MORIMOTO
1
,
Hiroyoshi ENDO
2
,
Norihisa KAWAKAMI
1
,
Kunihiko MIURA
1
,
Eiji MARUI
3
,
Tetsuya KANEKO
4
,
Tanji HOSHI
5
,
Tadao KONDO
6
,
Naoaki NIINO
1
,
Yūichi IMANAKA
1
,
Nanaho MOROTA
7
,
Atsuaki GUNJI
8
,
Akira KOIZUMI
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
2厚生省健康政策局健康増進栄養課
3東京大学医学部国際交流室
4杏林大学保健学部人類生態学教室
5国立公衆衛生院衛生行政学部健康教育室
6目黒区目黒保健所
7東京大学文学部社会心理学教室
8東京大学医学部保健管理学教室
pp.628-636
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207335
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■はじめに—調査の背景と目的
公衆衛生活動は今や,大学・研究所を中心としたいわゆるbiomedicalな基礎研究や疫学研究,国・地方自治体レベルの健康政策に関わる諸活動,あるいは保健所や病院・診療所を中心とした第一線の公衆衛生実践活動等,極めて広範,多岐にわたって展開されている.これらの諸活動の共通課題は集団あるいは個人のレベルでの「健康」である.つまり,公衆衛生活動の対象は,疾病とそれに対応した医療施策という静的なものから,「健康」というより包括的なものに移りつつある現在,公衆衛生活動機構並びに政策の質そのものも,このような目的に合致した形に大きく転換しつつあるといえよう.例えば,今回,ここに報告する全国健康意識調査の結果,国民の80%が,自ら「健康」な状態にあると考えている一方で,健康に不安を持っている人が75%と高率に存在する事実も知られた.このような「健康」の質とはいかなるものであろうか.
本調査研究はこのような観点から,具体的な公衆衛生活動を展開する際の基本である国民の健康状態を,従来とられてきたような医学的検査値の集団分布から「異常」,「正常」を判断するレベルを超えて,むしろ個々人が主体的に自らの健康状態を判断する,いわゆるsubjective (perceived) healthをなるべく包括的に把握する事を目的に実施された.具体的には,健康意識・志向,健康態度(いわゆるhealth attitudes),そして健康行動の三つのレベルで面接調査を行った.
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