特集 栄養疫学
がんの食生活要因
青木 国雄
1
,
浅野 明彦
1
,
浜島 信之
1
Kunio AOKI
1
,
Akihiko ASANO
1
,
Nobuyuki HAMAJIMA
1
1名古屋大学医学部予防医学教室
pp.108-114
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206997
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■はじめに
食生活や食習慣と消化器がんの関連は,一部の臨床家は早くから気づいていたが,人間集団での検証はHaenszel1)やWynder2)の努力で始められた.
Haenszelら1)は日系米人の胃がんの食生活要因をさぐるため,社会学者,心理学者,統計学者らの協力をえて,より客観的な問診票を作成し,くり返しの食生活調査から,食習慣が比較的正確で再現性が高く比較性のある指標と考えた,そして摂取回数による定量化を試みた.同時に専門のInterviewerを養成して調査にあたらせたことも画期的であった.こうして始められた胃がんのcase-control studyは,表1のようなrisk fbodsをみつけ出したわけである.和食品として塩干魚,しょうゆ,大根つけもの,塩辛などの塩蔵品を多く摂取する群は,胃がん相対危険度が1.4〜1.8倍となる.キャンディー多食も2.1倍であり,一方さやえんどう,とうふ,野菜,ミルクなどを多食する群は相対危険度が低かった.
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