特集 悪性新生物の疫学
肺がんをめぐる諸問題
青木 国雄
1
,
佐々木 隆一郎
1
Kunio AOKI
1
,
Ryuichiro SASAKI
1
1名古屋大学予防医学
pp.546-550
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206346
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■はじめに
肺がんの問題の大きさ,緊急性は,以下の点からも首肯される.わが国の肺がん死亡率は第二次大戦後休止することなく,男女ともに増加をつづけており1),このまま経過すれば15年後には男女とも部位別がん死亡率で首位になると推測される.肺がんは致命率が高く,罹患と死亡数の比は1.2前後3)であり,がん登録からみた5年生存率はきわめて低い.肺がんは早期発見は可能ではあるが,その特性からみて効率があまりよくない.第一次予防としては喫煙対策があり,これが奏効すればかなりの患者減少が期待されていることなどがあげられる.
こうした点をふまえて本稿では,肺がん増加の実態,病因とその対策の問題点について疫学面からふれてゆきたい.
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