特集 グルメ時代の病院の食事
病院での食事の意味—治療食か生活食か
田中 慶司
1
,
池田 義雄
2
,
桑田 隆志
3
,
立川 倶子
4
,
田川 熊夫
5
Keiji TANAKA
1
,
Yoshio IKEDA
2
,
Takashi KUWATA
3
,
Tomoko TACHIKAWA
4
,
Kumao TAGAWA
5
1厚生省保険局医療課
2東京慈恵会医科大学第3内科
3東京慈恵会医科大学内科
4鹿児島大学医学部附属病院栄養管理室
5医療法人岡本病院(財団)
pp.213-220
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900590
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病院給食のかかえる問題 行政の立場
病院給食が,生活食と位置づけられるべきか,医療の一部と見なすべきかという問いに対しては,その質問の設定の立場によって答が異なってくると言わざるを得まい.
まず,社会保険の診察報酬上は給食料に対し,特別食(治療食)加算が区分され,生活食と医療の部分が分離評価されているようにも見えるが,給食全体として「医療の重要な一部門であり,収容患者の症状に応じて適切な食事を給与し,その治癒あるいは病状回復の促進を図るもの」と位置づける見方が一般的である.いっぽう,例えば精神病の患者に対する食事等,それが治療的な配慮がされている割合は多くないと考えられるものがある.医師がすべての患者に対し,適時適切な食事処方を行い,健康回復,維持の目的で医療の一環として食事をプログラムしていると胸を張って断言する人も少ないであろう.もちろん,これについても,医療的な視点からの意義は全くないと言い切ることも出来まい.
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