特集 循環器疾患の疫学
循環器疾患の管理方式と将来の方向
小澤 秀樹
1
,
矢野 敦雄
1
,
萬代 隆
1
,
馬場 俊六
1
,
池田 正男
2
Hideki OZAWA
1
,
Atsuo YANO
1
,
Takashi MANDAI
1
,
Shunroku BABA
1
,
Masao IKEDA
2
1国立循環器病センター集団検診部
2国立循環器病センター
pp.182-189
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206832
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■はじめに
循環器疾患の中で,わが国では脳卒中が多発し,虚血性心疾患の3倍を越える死亡率を示す.脳卒中の予防をはかるため,疫学的研究をはじめとして,脳卒中の成因について研究が進められてきた結果,脳卒中の最大の要因が高血圧であることが明らかにされてきた.この成績にもとついて地域集団を対象とした脳卒中予防の介入研究が行われ,脳卒中の予防の成果が実証されている.
すなわち,脳卒中は予防できる疾病であることの実証がある.他の成人病,胃がん,肺がん,糖尿病などでは,予防できることについて必ずしもはっきりしていない.脳卒中の予防は,その最大の原因である高血圧の早期発見と,発見後の高血圧管理が基本である.高血圧の発見は,自覚症状によって受診することを待つのでなく,異常を訴えてない人に対する検診が主要である.現在では血圧を測ったことのない人は少ないと思われるが,10年前には血圧検診は普遍的でなく,地域の血圧検診が昭和48年にようやく予算補助事業になったところであった.
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