研究ノート
国立循環器病センター退院患者の追跡調査—脳卒中・心筋梗塞患者の生存率の推移
寺尾 敦史
1
,
馬場 俊六
1
,
萬代 隆
1
,
小西 正光
1
,
撫井 賀代
2
Atsushi TERAO
1
,
Shunroku BABA
1
,
Takashi MANDAI
1
,
Masamitsu KONISHI
1
,
Kayo MUI
2
1国立循環器病センター
2大阪市浪速保健所
pp.438-442
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900598
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●はじめに
疾病罹患者の長期予後を観察分析することは,その疾病の予防対策をたてるうえに有用である.疾病の自然経過をみるためにもっとも望ましい研究方法は,地域を基盤とした前向きの疫学調査であると考えられる1)が,疾病羅患者の予後をみた検討成績の大部分は病院を基盤としたシステムに基づくものである.
今回ここに紹介する国立循環器病センターの院内循環器疾患登録・追跡システムも本来病院をベースとした登録・追跡システムであり,地域をべースとしたシステムではないことに留意が必要である.私どもの部門では医師会と協同して吹田市全域を対象とした循環器疾患の登録・追跡を実施しており,その成績からみると,国立循環器病センターの入院患者は当地域における循環器疾患登録例の約半数を占めているが,比校的若年の軽症例が多いことが認められている2),当センターのシステムを通じて得られた結果を直接地域へ一般化することには無理があるが,対象選択の偏りを知って成績をみることにより,地域の実態を把握することは可能であると考えられる.このことが本研究の特色である.
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