特集 食品衛生行政
食品衛生行政の一側面—消費者保護の立場から
宗像 文彦
1
1国民生活センター
pp.386-390
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205395
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I.はしがき
最近,食品をめぐる保健衛生上の諸問題が,関係専門家の間で熱心に議論されているだけでなく,テレビ,ラジオ,新聞,雑誌などを通じて一般大衆にも情報として大量に提供され,その日常生活にも良かれ悪しかれ少なからぬ影響を及ぼしている.
従来,食品に関する保健衛生上の中心課題は,急性胃腸症状をひき起こす細菌性食中毒についてであったが,今日では,食品添加物,残留農薬,環境汚染物質などの化学的物質による障害,とくに長期間にわたる摂取によって起にると思われる発がん性や遺伝に対する影響などが注目されている.このにとは,食品に化学的物質が介在あるいは混入したために起こった水俣病,森永ヒ素ミルク事件,カネミ油症事件などによって,次第に重要視されてきたものであり,食品以外でも,胎児に影響を及ぼしたサリドマイドなど医薬品の副作用問題,化学的物質が介在する公害問題などが社会的関心をたかめ,保健の観点から化学的物質全般についてきびしく見直すという傾向をつよめている.
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