特集 地域看護を考える
地域組織の連携による脳卒中患者の把握と追跡指導の試みから
横山 孝子
1
1長野県厚生連佐久総合病院
pp.290-296
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205004
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はじめに
成人病に対する予防と治療の対策については,それぞれの地域で,その実情に応じてさまざまな取り組みがなされています.しかしいずれも,一貫した地域ぐるみの医療や看護にまでいたらず,予防と治療,リハビリテーション,社会復帰という連携組織がないため,地域の保健婦がどんなに身を粉にして成人病検診や事後指導に飛びまわっても,手おくれ患者やねたきり老人が後をたたないのが実状であります.
医療機関では,入院患者に対して総合看護の必要性を叫びながら,現実には,患者が家庭にもどる時に,退院後の家庭看護や継続的な生活指導が必要であっても,地域(保健婦)への連絡はなく,その病院と患者との関係にとどまっており,患者の意志まかせであります.そして,患者が医療を放置しようと,中断しようと,個人への呼びかけはなく,まして地域の保健婦との積極的な連携による追跡もなされない.いや,現在の医療制度のもとでは,医療機関ではこのような追跡管理などは,財政的にも人員的にもできないようなしくみになっており,予防や啓蒙活動が医療の使命から落されているわけです.
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