特集 難病対策と福祉
患者会・保健所・医療機関の連携—地域での試み
角田 英昭
1
Hideaki TSUNODA
1
1神奈川県衛生部保健予防課
pp.325-330
発行日 1982年5月15日
Published Date 1982/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206522
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難病患者の地域ケアは全国的にはまだ緒についたばかりであり,その状況は神奈川県においても全く変わりはない.保健所の活動をみてもつい最近までは,難病患者に対する働きかけはまだまだ個人的な域を出ておらず,制度的,組織的な対応はできていなかった.「確かにやる必要はあるかもしれないが,今の業務を整理しなくてはできない」「予防活動をする保健所でなぜ実際的な看護指導を要する難病患者の問題に取りくまなければならないのか,釈然としない」などという声が支配的であった.問題の性質は幾らか異なるが,このような傾向は医療機関における在宅ケアの取りくみについてもあった.「家に戻ってどうやっているか心配だが,現状では訪問看護に人手をさくことはできない」「病院内でのコンセンサスが得られない」と.
しかしその一方で地域では,積極的な医療ケアはもう必要ないとのことで退院になった難病患者は,多くの場合相談するところもなく,医療と福祉の谷間で悪戦苦闘しながら不安な日々を送っており,時には力尽きて老人病院に入院してしまう人もいる.
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