ベッドサイドの看護
脳卒中患者の家庭看護の試み
井原 奈々子
1
1国立療養所東埼玉病院一般病棟
pp.1066-1069
発行日 1974年11月1日
Published Date 1974/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917118
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Ⅰ.はじめに
人はだれでも病気になることを好まない.例え患っても,できることなら自分の力で,自分の家で治してしまいたいと願っている.家庭には,すべての人々の生活の本拠があり,その中で最も安心して休息し,慰めを得,心身の疲労を回復し,明日へのエネルギーを蓄えている.病気になり,家庭を離れ,病院に入院することによって引き起こされる多くの不安と動揺を考える時,家庭で医療が受けられるものならば,患者は最も安定した状況の中で療養ができ,健康回復が得られるのではないだろうか.しかし現実には,人的・物的・経済的な問題もあり,諸設備不足や住居事情,家族間の断絶,核家族などの問題が山積し,家庭看護はほとんど,不可能に近い.
この度,同居中の私の姑が,病院入院を拒否しているうちに脳卒中の発作を起こした.その経験に基づいて,家庭の中で,発作からリハビリテーションに至るまでの看護の経過を報告し,各期の問題点や家庭看護の在り方を検討してみたい.
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