特集 住宅と健康
第8回社会医学研究会・主題報告と総括討議
主題報告Ⅰ
都市居住者の住生活と健康
報告4.定期往診患者(重症・老人)の住宅事情
川上 武
1
1杉並組合病院
pp.630-632
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203563
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1.はじめに
わが国では,慢性の経過をとり疾病の性格からいって入院の対象というよりはむしろ中間施設で治療すべきものが,現実に歩行困難という点で外来通院不能とあいまって,定期往診患者として扱われている。患者の治療にあたって,医療レベルを決定する諸因子のうち医療内容(狭義の)は医療保障の運用いかんによりある程度確保される。それにもかかわらず療養生活の基本ともいうべき衣食住については患家の所得など社会的条件に大きく制約されている。なかんずく住宅問題は社会性が濃厚である。衣食はむずかしいとはいえまだ改善の余地がないとはいえないが,住については医療担当者の最も手がおよび難くコントロールしにくい。
入院患者でいえば病室に相当し,しかも社会的性格がいっそうつよい住宅事情を調査することにより,定期往診患者(重症・老人)をめぐる問題点が明らかにされるのではないかと考えた。報告は,3診療所(杉並組合病院6,甲府共立病院36,根津診療所4,計46例)の1967年5月現在の断面調査に基づく。
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