特集 住宅と健康
第8回社会医学研究会・主題報告と総括討議
主題報告Ⅰ
都市居住者の住生活と健康
報告3.感染性在宅結核患者の住居事情からみた問題点
谷田 悟郎
1
,
坂井 史枝
1
1耳原総合病院
pp.627-630
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203562
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最近,結核はその死亡率が低下したため斜陽化したといわれる。しかし,未開放部落など低所得層を多くもつ大阪民主医療機会連合会の5病院・診療所では,昨年10月の総外来肺結核患者のうち21%の感染性患者がなお入院しないで受診している。この感染性患者の住居が,診療の場として結核感染予防面からみて適しているか,さらに動的な観点から住居環境はどうか。この現状から結核患者およびその家族に及ぼす問題点を,社会医学的観点より追求した。なお,昨年11月,大阪民医連(略称)でケースワーカー,保健婦が在宅感染性肺結核患者の入院を阻む諸因子を調査した。生計の中心者である国保本人の労働者や外国人の入院は経済的問題によって,また生計の中心でない者,主婦が乳幼児を抱えたり,入院可能の生保受給者が精神障害者を抱えることによって入院が阻まれる。医療機関が老人や重症など要付添患者を受入れない問題は,病院の「合理化」が患者側からも入院を阻む原因となっていることがわかった。
今回,調査対象の当耳原病院は,未開放部落の大仙西校医に絶対的診療圏をもっている。昨年12月末現在の受診者総数376名,そのうち感染性と喀痰中結核菌持続陽性および間欠排菌者(要入院者)とかつて要入院者で最近6カ月間排菌陰性者,A群48名と非感染性(発病以来常に菌陰性で現在学会分類Ⅳ型B群29名)をそれぞれ,計77名を選び,そのうち54名が面接でき,その住居状況を調査した。
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