ある地方医の手紙・7
雪山への往診
穴澤 咊光
1
1穴澤病院
pp.130-131
発行日 1973年1月10日
Published Date 1973/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204586
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W先生.
今年も当A市の市役所に,「雪害対策本部」という大きな看板の出る季節になりました.経済発展にとり残された当市には,スモッグの,排気ガスの,水質汚染の,ゴミ戦争の,といった公害は全くなく,春から秋にかけては空気は澄み切ってまるで天国のようですが,厳冬の1-2月は豪雪地獄です.吹雪の後には1-1.5mの積雪に幹線道路すら雪に埋もれ,車の車輪はチェーンをまいてあっても雪の中でツルツル空転するばかりで先に進まず,いつもならここから車で5分たらずのところにある駅に行くのに何と30分もかかったりします.それに加えて,人家の屋根から,「雪おろし」をした雪が道傍に山積みされて交通を妨害し,患者の転送ができなかったことすらあります.
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