調査報告
献立内容を通じてみた地域食生活の実態
田中 恒男
1
,
津田 佳世子
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.162-168
発行日 1967年3月15日
Published Date 1967/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203430
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栄養の摂取状況を把握するために,わが国では主として,国民栄養調査方式に準拠した栄養調査が行なわれている。たしかに栄養の摂取状況を量的に把握したり,食品構成について量的な分析を試みることは,地域の健康水準を裏づけるものとして重要な標尺ではある。しかし,この種の調査法には多くの困難や誤差がともないやすく,信頼しうる結果を求めるためには,なお検討すべき多くの問題を残している1)2)3)。
すでに筆者らは,地域の健康生活の一尺度として,献立内容の分析が必要であることを説いたが5),献立内容を通じて見られる食生活内容は,消費水準,食糧供給状況,生活意織などの経済的,社会的,文化的要因の総合された生活のパターンとみなしうると考えられる4)。したがって,これらの内容を明らかにすることは,栄養調査ではえられない食生活の質的側面を明確にし,その結果,地域保健管理体系の確立に重要な情報を提供することになるであろう。
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