私はこう思う シンポジュウムをきいて
保健婦の立場から
谷口 智子
1
1東京都渋谷保健所
pp.44-45
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202780
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このたびの公衆衛生学会の第一の関心は,「地区のニードにこたえる保健所活動」のシンポジウムであった。それは日頃保健婦として,複雑多岐にわたる公衆衛生の第一線で活躍している私達にとって,今後への明るい方向づけに対しての期待が大きかったためである。主催者側の予測に反し,立錐の余地もない参加者を見ても,何か一縷の望みを託し,将来の公衆衛生活動の指針を学ぼうとする熱心な雰囲気が感じられたが,内容的には再三の打合わせ会をもたれ,効果的な学会が企画されたとのことであるが,現場で働く者にとっては,抽象的で的確な具体策がなく,この点だけは今後の業務に反映させてゆこうと思う方策がなかった。結果としては,厚生省は保健所のニードに如何にこたえるか,(参加者の多くの実感)が中心議題になった点などからみると,基本的障害となることもこのへんにあり,公衆衛生の進展を阻害する第一の因子かと情なく思った次第です。
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