特集 ポリオの疫学(その2)
総説
わが国と諸外国とのポリオの疫学現象
松田 心一
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.122-138
発行日 1962年3月15日
Published Date 1962/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202501
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序論
ポリオは,およそ1世紀前までは,世界でもまれな疾患と見られていたが,ここ50年来温帯地方において,主として都市を中心に,しばしば多発流行を起こすようになり,また時としては,周期的発生をくりかえす傾向を示し,それにつれて,次第に世界各地に侵襲し,現在では,その発生流行に,もとより地方的な差異が見られるにしても,それが熱帯地方であると,寒帯地方であるとを問わず,ひろく世界の各地,各国にその発生を見るに至っている。51),52)
本病がどうしてこのような,全世界にわたる広範な侵染状態を呈するに至ったか,その事由と機序とを明らかにすることは,もとより難解なことではあるが,同時にまた,疫学上きわめて重要な課題でもある。
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