特集 第4回国保保健婦講習会のすべて
ポリオの疫学
山本 宜正
1
1厚生省防疫課
pp.89-94
発行日 1961年11月10日
Published Date 1961/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202451
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まえがき
われわれの日常生活の中で疾病というものを恐れ,きらう理由としては次のようなものが考えられます.疾病が死(Death)をもたらすものである場合,つぎの疾病が身体障害(Defect)をもたらす場合,さらにはたとえ,一時的にせよ,作業能の減退(Disability)をもたらす場合,これらのいずれかあるいは組合わさつた条件によつてその疾病が恐れられ,またその恐れ方に程度の差が生ずるものと思われます.
さらに公衆衛生の観点からみるならば,社会の中における患者,あるいは死者の割合,すなわち罹患率,死亡率の大小も関連して考える必要があるでしよう.またその疾病が伝染病の疾患である場合には,その伝播力の程度というものももう一つの要素として考えに入れるべきでもありましよう.もう一つ疾病に対する治療,予防の可能性も関連する一要素として見逃がせない点です.しかし,これらの各要素がどのくらいの比重で評価され,評価すべきかは,なかなか複雑なところでありましよう.
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