Japanese
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綜説
腎移植—諸外国の状勢を観察してわが国の現状を展望する
Renal Transplantation
河村 謙二
1
Kenji Kawamura
1
1京都府立医科大学
1Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.105-111
発行日 1969年2月20日
Published Date 1969/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200616
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はじめに
わが国における腎移植のこれまでの経過とその将来の展望について書けとの編集部からの注文であるが,腎移植についての研究も,臨床も,これを世界的にみても他の分野の研究に較べて比較的歴史は浅い。ことにわが国のそれは1,2の人達によつて試みられていたのみで,これが医学の研究の大きな課題として取り上げられ,実験的な基礎的研究や,臨床手術の行なわれるようになつたのは1965年以降のこと,すなわち未だ今日では3年あまりしか経過していない。したがつて腎移植の今日までの経過といえば先ず諸外国で始められた腎移植に関する諸事項を述べて,それが今日までにきた状勢,進展を一般的に回顧し,それを基としてその経過中にわが国でとり上げられてきた腎移植の状態についてまず述べ,ついで今日におけるわが国の腎移植の現況と,その将来への展望を述べることとする。
現況といつても諸外国もそうであるが,ことに日本においてはその手術例が1967年7月1日から1968年7月1日までだけで,30例以上の手術例が行なわれ,106例に達しはしたものの,生存例の経過年数も極めて短かく,アメリカにおいて登録されている1967年までの1189例などの成績をも観察に加えないと,腎移植の現況も,その将来も語れないという状態である。
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