特集 ポリオの疫学(その2)
原著
ポリオ流行地における疫学的環境衛生学的調査
高桑 栄松
1
,
小林 利夫
1
,
小野 昌憲
1
,
小泉 冽
1
,
山田 守英
2
,
松宮 英視
2
1北海道大学医学部衛生学教室
2北海道大学医学部細菌学教室
pp.139-144
発行日 1962年3月15日
Published Date 1962/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202502
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最近ポリオの疫学的研究の進歩により,流行発生要因のうち環境的要因の有する意義の重要性が指摘されている。欧米1,2)では都市および農村における非衛生的状態などの環境衛生上の悪条件が乳幼児間に広範な不顕性感染を起こさせ,彼らは早期に免疫を獲得するに至ることが明らかにされ,また環境衛生の向上に伴いポリオが増加するといわれている。これはしかし諸要因間の相対的関係により,いろいろな相を描くことはけだし当然であって,地域によって必ずしも同一でないと考えられているが,わが国においてはこのような環境衛生学的観察はあまり報告がなく,特に同時にウイルス学的および血清学的に研究したものは少ないように思われる。昭和35年北海道においてはわが国ポリオ流行史上最大規模にまで進展した流行3)を経験したが,その際道内北部の1農村にも小流行が発生した。よってわれわれは流行地区の住民について病原ウイルスの集団的検索および血清中和抗体の測定をおこなうとともに,ポリオ流行地における環境衛生学的調査を実施した。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.