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最近のビタミン問題
中川 一郞
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1公衆衞生院榮養生化學部
pp.3-8
発行日 1952年10月15日
Published Date 1952/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201112
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最近のビタミン科學の進歩の詳細に就てはAnnual Rev. of Biochemistryの「水溶性」1)2)及び「脂溶性」3)4)ビタミンの項に讓り,茲には主として本邦に於てどんな問題が興味の中心とされ,研究,論議されて居るか(之には學術研究會議の脂溶性ビタミンB委員會及びビタミン綜合研究委員會が中心となつて活發に仕事を行つて居る),又最近1,2年間に發溌された研究報告,それも主として人に關するもの(動物試驗でなく)をとりあげて述べてみたいと思う。
先ず第一に定量法の問題であるがV. Aの定量では三鹽化アンチモンを用いるCarr-Priceの方法は呈色の安定なG. D. H法に既に代られて居り(その他にAに紫外線をあてゝ生ずる螢光を比較して定量する方法6)も發表されて居る)。Cに就ても同樣にインドフエノールを用いる方法に代つてV. Cを全部酸化型として後,測定するRow5)の2,4ヂニトロフエニールシドラヂン法が登場して居り,何れも實驗方法としての検討の時期は過ぎて實用の段階にはいつて居る。B1の定量法に對しては赤血鹽を以ての酸化よりブロムチアンを以てする方が優ると云う人々7)もあり,B2についてはルミフラビン法が一般に廣く用いられては居るが,未だ改良すべき點を幾多殘して居るように思われる。殊に遊離と總B2との分離に一層の工夫を要するようである。
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