Medical Scope
ビタミンK—最近の話題
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.813
発行日 1990年9月25日
Published Date 1990/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903252
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新生児・乳児ビタミンK欠乏症研究会の第2回目の会合が,6月に神奈川県で行なわれました。今月は,このなかからいくつかの話題と疑問点などをお知らせしようと思います。
ビタミンKは血液凝固に欠くことのできない大切なものですが,古くは未熟児に過量に投与すると核黄疸になるという問題から,今日では欠乏した新生児や乳児が頭蓋内出血をおこすという点で問題となっています。ここで,ひとつ単純な疑問がわいてきます。出生直後の新生児がビタミンK欠乏症になると,新生児メレナといって消化管からの出血をおこす疾患になります。吐血や下血を示し,ときには重症になることもありますが,今日では,母体が妊娠中にビタミンKを多く含むチーズやバターなどの食品を多くとるようになったので,その発生率は一段と低下したことはよく御存知でしょう。しかし,この新生児が新生児期をすぎ,生後1〜2ヵ月の乳児となり,この時点でビタミンK欠之症になると消化管出血は示さずに,頭蓋内出血となってしまいます。なぜ新生児では消化管出血となるのに,乳児期では頭蓋内出血なのでしょうか。これは,まだわかっていない大切なポイントなのです。
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