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手指の汚染簡易判定法(細菌手型)—手洗の衞生教育のために
柳澤 文德
1
,
那須 昭夫
1
1千葉大學腐敗研究所
pp.109-112
発行日 1951年9月15日
Published Date 1951/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200911
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手指が病原菌により汚染せられていることが多いと,特に消化器傳染病原菌が附着しているときは極めて危險である。疫學上から見ても汚れた手指を通して飮食物に移行する場合が少くないとされている。特に毎年急激に増加してきている赤痢の罹患原因が手指の汚染に起因していることも明で,手洗の勵行に依つて赤痢の流行を抑え得た事實は埼玉・群馬兩縣に於ける實證がある。このことは寄生虫の場合にも同樣に老えられる場合もある。
然し本邦では手洗は充分に實施されておらす,又一般的に見て手洗場所もその設備も極めて形式的であると言わなければならない。色々な意味より手洗いの勵行は必要であるから,その實施の爲の衞生教育が必要になる。特に中・小學校健康教育中,手洗の習慣形成の教育技術が問題になつているので手指の汚染を何か具體的な直接視覺に訴えて認證させる教育方法がないかと考えていたが茲に述べる細菌手型とでも云うべき比較的效果的な教材をつくり得たので,その概略及び基礎的實驗成績を述べる。この方法は既に歐米に於て實施しているが,本邦では近時かゝる方法が用いられておらぬので再検討の意味も含めている。
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